＿＿今日はお時間をとってもらってありがとうございます！まず初めに聞きたいのはWEXTHUSETという社名の意味は何なのでしょうか？
LENA：とても古いスウェーデン語のスペルなんです。現在のスペルとほぼ似ているのですが、Wext（植物）とHuset（家）が合わさって一つの単語として、温室とかグリーンハウスという意味です。
＿＿なるほど、グリーンハウスという意味なんですね。なぜそのような名前を付けたのですか？
LENA：好きな花の名前や草の名前など、色々な名前を考えたけど、どれもしっくりこないというか、固有のものに偏ってしまう感じがしていて。あれこれ模索していたところ、夫と二人である日ひらめいて「グリーンハウスが一番すべてを包み込むね」ということになり、ガーデニングのすべてをカバーできるし素晴らしいわ、と思って決めました。
＿＿なるほど、確かにすべてのガーデニング品が収まりますね！
＿＿では次に、いつから、そしてどのようなきっかけからヴェクスセットを始められたのですか？
LENA：本当に初期の創業は2002年です。昔から植物を育てることが好きで、特にペラルゴニウム（ゼラニウムの一種）を育てるのが好きで、前職の仕事をしているときも趣味として自宅で育てていたの。その自分で育てている様子や、発芽から育成、剪定などの方法を、ブログなどで紹介していると、そのブログのアクセスが増えていき、人気が出てきたの。そうすると、切り花を分けてほしいという話が多くなってきたので、自分でネットショップを立ち上げてペラルゴニウムの株や切り花の販売を始めました。2002年当時、ネット環境は普及していたけど、まだネットショップはそれほど盛んでなく、自分でプログラムを駆使して試行錯誤しながら一からホームページを作ったわ。今から比べるとひどい出来だったけど、きれいな写真をたくさん上げることで、アクセスする人が増えて、ファンになってくれて、購入してくれる人が増えていきました。
＿＿いつごろから本格的なビジネスとして始められたのですか？
LENA：2005年にはペラルゴニウムの販売数がかなり多くなって、一人で植物を育てながら売るには手が回らないようになったので、今度は植物を育てるための商品を売り出すことにきめました。実際ペラルゴニウムの生産販売をしながらいろいろなガーデニング商品を使う機会があって、そのメーカーさんとお知り合いになる事ができ、自然と仕入れのルートが出来ていたの。またブログや写真を通じて、お客さんも私が使っている道具に興味を持っているようで、よく問い合わせがあったわ。中には私が独自で仕入れていて、国内のホームセンターなどには置いていない物も多く、お客さんからは「どこで売っているの？」という質問をよくもらいました。そこで私は育てて売るよりも、育てるための道具を提供しながら皆さんにガーデニングを楽しんでもらおうと思ったのです。そしてより本格的なガーデニングウェブショップを立ち上げたの。それがWEXTHUSETです。
＿＿まさに趣味が高じてですね！(笑)ペラルゴニウムの生産では有名人だったのですね！
LENA：そうなの！でも本当に古いグリーンハウスで設備も古かったからとっても大変だったわ(笑)
＿＿そうして立ち上げたヴェクスセットですが、初期の商品はどんなものを扱っていたのですか？
LENA：小さなグリーンハウス、室内栽培用ライト、発芽ポット、植木鉢から始めました。北欧では、夏は屋外の庭や鉢植えで育てたりすることができるけど、冬になるとできないので、室内で育てるための商品を中心に揃えました。まだその頃はなかなか鉢物やプランターなどを越冬させるのは大変で、室内栽培の商品も出回り始めたころだったので、一般的なガーデニング商品と少し差別化することが出来たわ。
＿＿なるほど、そのライナップの中心は今も変わっていないですね！そうして営業を続けられて、今はかなり大きなショップになられていますが、大きな転機はあったのですか？
LENA：最初の5年は試行錯誤でしたし、お客さんもそれほど多くありませんでした。ただ2011年に入ってからWEXTHUSETの存在が浸透してきたのか、徐々にお客さんの数が増え始めたわ。そして大きく投資をし、倉庫を借りたり従業員も増やしたりしてインフラを整えました。それがほぼ今の自社のベースになっています。
＿＿今は何点ぐらいの商品を扱っているのですか？
LENA：6000種類弱ぐらいあります。
＿＿6000種類ですか。まだまだ私も見回りきれてないです(笑)。
＿＿そうした数多くの商品がある中でレナさんが特におすすめしたい商品は何でしょうか？
LENA：室内栽培の製品がとても気にいっています。
その中でも水耕栽培ステーションのPLANTUIは特に気に入っている商品です。自分の食べるものを自分の家の中で栽培できるところがとても素敵だわ。私は今でも種をセットしたら発芽の瞬間が待ちきれないくらいワクワクしてしまいます。そして育っていく姿を見るのはハッピーだし、それを食べることの楽しみもまた格別です。
その上なんといってもシンプルに育てられるのも魅力ね。難しい技術や道具を使わなくても簡単に栽培する楽しみを体験できる。それを生活の身近に置くことができるのがとても素晴らしいと思います。
＿＿こういったインドアガーデニングは北欧やヨーロッパの国でも流行っているのですか？
LENA：そうですね。屋内だけでなく、ベランダ、屋根、壁面など様々な都市型生活に密着した形のガーデニング（URBAN GARDENING）というものが流行ってきています。特に若い世代で、みんなで協力しながら緑を育てることでコミュニティーを育成したり、自分で食べるものを自分で育てることにより、食物や生についての価値を再認識して、喜びを深く享受できたりと、社会的な意味でも非常に浸透してきています。それはもう流行りというものではなく、大きな流れとして確実にできていると感じているわ。
その上、水耕栽培ステーションや室内栽培ライト等のあたらしい技術で手軽に季節や天候を問わず栽培できるようになってきていて、その技術を使った方が成長速度や質が従来のものより良い物ができるようになってきたことも、この流れを後押ししています。トマトで言えば、従来の耕法では10−12週かかっていたものが、水耕栽培や室内栽培ライトを使うと、6−7週でできてしまいます。
＿＿都市型ガーデニング（URBAN GARDENING）というジャンルの誕生ですね！ではどうやってそのような新しい商品を探しているのですか？
LENA：それは私にとって、とても楽しい時間なの！スウェーデンやヨーロッパ各地の色々なショーに行って見つけたり、メーカーから新しい商品の紹介を受けたりして、常に新しいものに触れられるの！そうやって見つけた物の中でインスピレーションを感じたものを選んでいます。
＿＿ではそうやって出会った商品はご自身で試しているのですか？
LENA：はい、そうです。ほとんどすべての商品はオフィスや自宅で使ってみて、デザイン、品質や使いやすさなどを今までの自分の経験から検証して、いい物だけを販売するようにしています。その中でも、特に使いやすさを重視しています。手軽に誰でも使えるというのがとても重要だと思っているの。
＿＿なるほど。ではここでガーデニング全般という話で、日本ではガーデニングというと英国のイングリッシュガーデンが有名なのですが、今ヴェクスセットでも扱っている北欧のガーデニングとはどのような違いがあるのですか？
LENA：もちろん似ているところはあるのだけど、違いは、北欧のガーデニングをする人はとても環境や健康や社会に興味があって、計算された美しい花のお庭も素敵だけれど、どちらかというと、自分たちが食べるものを栽培するということに興味があるし、さらにその作物も育っていく姿にお花を育てたりアレンジしたりするのと同じような喜びを感じていますね。そしてそれは栽培する人のストレスを解消したり、精神や心を元気にしてくれています。
＿＿デザインとしての違いはありますか？
LENA：そうね。ナイロンや麻のバッグの中で育てたり、木の箱を使って積み上げたりするのも新しいし。街角の小さな場所だったり、ベランダや裏庭だったり、はたまたリビングやキッチンでも育てたりしています。
＿＿ではご自身のガーデニングライフはどのような感じですか？
LENA：私は色々な庭を持っていて、もちろん伝統的なお庭もあるし、キッチンガーデンとして食べ物を作る庭やハーブガーデンもあるし、発芽のための苗床、そして水耕栽培や室内栽培のエリアもあります。
そしてその全の場所で、自社で販売している種、肥料、ポット、栽培地、温室や道具を使っています。そうすることで商品をよく理解できるし、ちょっと注意が必要なところなどにも気づくことができます。
＿＿色々なものを育てているのですね。
LENA：そうなの。私はガーデニング中毒者だわ！(笑)
＿＿今度はオフィスのことを教えてください。今は何人の方が働いているのですか？
LENA：オフィスっていうのはちょっとおかしいわね。ここは大きな納屋で、5000�屬發△襪里脳�さなオフィスって感じではないわね。おそらくスウェーデンで一番きれいで大きな納屋じゃないかしら。（笑）
今は13人のメンバーと働いています。とても素晴らしい社員たちで、とても私は恵まれているの！
始めたときは私一人だったけど、2011年から本格的に人を採用し始めたの。それもあっという間に2人が3人、5人が10人という感じで。
＿＿とてもアットホームで、みなさん自然体で仕事していますよね。そして仲が良い！
LENA：そうなの。みんな楽しんでいるのよ！
＿＿もし差し支えなければ、レナさんは日々どんな仕事のスタイルや生活を送っているのですか？
LENA：私は2匹の大きな犬を飼っていて、朝は散歩をして、一緒にキッチンで朝食を作って、それを持ってオフィスに行くの。
８：３０には簡単なミーティングが全員であって、一日の仕事や、情報を共有しています。
お昼はみんなで一緒に食べて、午後にお茶の時間を挟んだり、何かと集まるわね。
大体はオフィスにいるけれど、オフシーズンにはショーや展示会に出かけたりしています。
そして16：30には仕事を終えて帰宅します。
オフィスを出たらまた犬を連れて散歩をしてから家に帰ります。ただ、社長の私は家に帰っても仕事があるときは夕食後にちょっと家で仕事をしたりします。今はスカイプやネットでどこでも仕事が出来るから。
＿＿ワンちゃんとの散歩がリフレッシュですか？
LENA：そうね。健康のためにエクササイズというのもあるけど、リフレッシュの為にとてもいいの。森の中を歩いたり、大きな湖の周りを歩いたりすることで気分がリフレッシュして頭がとってもすっきりするの。
＿＿僕も来て思いましたけど、本当にここは環境がいいですよね。きれいな湖と森があって、散歩するには絶好だなって！
＿＿それではこれからのヴェクスセットについて展望を教えてください。
LENA：最近はとても大手がこのネットショップにも参入しているのだけど、それはとてもいいことだと思うの。ガーデニングに関心が高まっている証拠だし、私たちが扱っているものが注目されてきているって証拠ね。もちろん競争は大変だけど、私たちは品質とサービス、そしてガーデニングを自らやってきたという知識と経験を提供しながら、お客さんに選んでもらえるように努力をしていきます。
たくさんのお店が出てきて商品の流通量が増えて、みんなが手軽に選べる時になったら、いよいよ私たちの知識と経験が重要になってくると思うの。その時に私たちがそれを提供できることはとても嬉しいし、お客さんにも喜んでもらえると思うの。
さらに今後もよいサービスを提供しながら、新しい商品やトレンドを探して、お客さんに紹介してくことも力を入れていきます。
＿＿特にアーバンガーデニングや水耕栽培というのが新しく始まったトレンドなのですね。
LENA：そうね。もうトレンドというよりは、これは大きな社会の流れと言ってもいいかもしれないわ。他社のオーナーさんと話しても、人々が植物を育てることでストレスフリーになるし心も体も健康になっていく。特に若い世代がそれをとても重要視していて、その子供達にもそういった環境を与えていくと思うから。これはもう流行りというものではなく、新し時代の流れね。
＿＿そうですね。私もスウェーデンを訪れて、本当に緑が人々の身近にあって、それを大事にしていると感じます。もうこれは文化の一つなのですね。今日はインタビューにお付き合いいただきありがとうございました。それでは最後に日本の皆さんにメッセージをお願いします。
LENA：今日はありがとうございます。まずご自身で植物を育てる喜びを感じてください。そして作物であれば、育てたものをしっかりと味わってください。そうすることで今までにない経験を皆さんに与えてくれると思います。ガーデニングや植物の栽培は難しいと思っている人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。ちゃんと良い道具、よい種、よいアドバイスを選んでみてください。そうすれは簡単にとても楽し栽培を行うことができ、その喜びを一層身近に感じることができます。それはとても素晴らしくラブリーな人生の時間になるはずですよ。
